解説3 巨悪の正体
謎解き
2人の蛇姉妹
(のふことかすえ)
の幼少期エピソード
我家の二人の姉妹が一体何を演じているのか? その謎を解く為のヒントとなる重要なエピソードを紹介しなければならなくなった。何故なら家族の1人1人が、個人から〜ある組織、そしてある国家まで、同時に演じる宿命を背負う存在であるからだ。
象徴〜から形象、実体に至る3段階の立場を含んだ立場で実に奇妙な動きをしている2つの存在の意味だ。
特殊な感覚を持って生きている為に起こる悲劇があることを知って貰う必要性が出てきたからである。
重要な最後の「悪の改心」を演じ切るまで、与えられた「悪の役割」は、そうは簡単に果たせないことを理解して頂ければ幸いである。
聞くに堪えられない耳の痛い内容かも知れないが、重要なエピソードであるので耐えて欲しい。●
人の言う事を全く聞かないままの娘が帰った後に母がつぶやいた。「あいつは、本当に、卑しい奴っちゃ…」「ん、何?」母はかすえがまだ小さかった頃のある出来事を思い出したのだった。
「これはね、ずっとあんた達がまだ小さかった頃の、昔むかーしの話たい。」
母の表情は沈んでいた。母は遥かに過ぎ去った遠い昔に起きた、ある忌まわしい記憶のエピソードを語りだした。
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(かすえ)の幼少期 |
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ある日、母のチカが家の中で家事をしていると、まだおぼつかない様子で遊んでいた娘の泣き声。ヨチヨチしていた娘が、何故か突然、火が点いたように大声で泣き出したという。
(何が起こったのか…?)と驚いて振り返って見ると、娘が指と口元に茶色いものを付けてのけぞって泣いていた。
近づいて見るとプ〜ンと嫌な臭いがした。何と娘は愚かにも、自分のお尻から漏らした大便を、指で触り、ジャムか何かと間違えてか、それを食べていたのだ。何の考えも無しに口に入れた後から、(あ、これは食べ物じゃない…)と気がついて、その強烈な臭いに驚いて泣いていたのだ。
母は突然、いくら話しても聞き分けが無く、思い込みでモノを言う娘の姿に、「不快な昔の記憶」がよみがえったという。 |
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その話を聞いてから私も昔、風呂場で兄がヒソヒソと聞かせた不思議な耳打ち話を思い出した。
昔、五右衛門風呂に兄と2人で入っていたとき、兄は何か忌まわしいことを思い出したかのように突然、私の耳元にささやいた。
「お前の姉ちゃんはな、アポ食べてたらしいぜ」「うえっ、うそー」何が何だか判らない、いきなりの話で、私は信じられなかった。多分(冗談やろ…)と思った。また、アポを食べた姉って一体どっちの姉なのか?さえも聞き直さないまま、いつしか時が過ぎて忘れてしまった。
今から思うと、兄もこの話を母から聞いていて、そのおぞましい話を、どう解釈したらいいのか?考えあぐねていたのだ。(いくら幼いとは言え、人間がそんな馬鹿な事をしてしまうものなのか?)
(人間の体の構造からして、食べて良いものか、それとも食べると不潔で危険なものなのかどうか?、誰しも口の上に鼻があり、本能で瞬間的に防げることじゃないのか?)
どう考えても信じられない話に、兄も答が判らず、たまらず幼い弟の私に、その答えを求めて聞いてきたのかも知れなかった。と今、つくづく思う。
その風呂場での兄の耳内話からしばらく過ぎた、ある日の夕飯の支度の時、お膳の食卓の準備をしていた兄は、洗った塗り箸を束に抱えて、お膳の真ん中にある(箸入れ)に入れようとしていた。
ところが入れる寸前に、お膳の向こう側の席に座って待っていた妹に気がついた。妹の顔を見ると突然、憎しみを込めて「ええい!、ええい!」と言いながら塗り箸を一本づつ、立て続けに妹の顔に投げつけていた。
私は、兄が一体(何を始めたのか?)も判らず、そんな兄の不可解な行動を少し離れて見ていた。その投げた何本かのうちの尖った一本の箸がかすえの眉毛の端に突き刺さり、タラリと出血した。「あっ、痛ーい!。わーーん!!」突然大声で泣き出した。
それを偶然見ていた祖母のゼンが兄を激しく叱った。「のりお!こら!何しようとか!お前は! もしも、かすえの目に刺さって目が潰れでんしたらどうするとか!、この馬鹿が!、今畜生が!」「う…む」「あ…」
激しいゼンの怒りの言葉に兄は面食らって何も言い返せず、黙って投げるのをやめた。兄は怖くなり、そのまますぐに二階に駆け上がり、その場からいなくなった。
兄が(何故こんなことをしてしまったのか?)私だけは何となくぼんやりと判った気がした。兄は母から聞いた妹のかすえのした愚かなアポ○事件で、その思慮の浅い軽率さにあきれ、うっかりでは済まない、何か取り返しがつかない程の、不注意がもたらすとてつもつかない大きな未来の人生の過ちを、妹から予感した。人生の使命に大きな取り違いをさせてしまう(本能的に自分の将来を脅かす程の、非常に危険な存在になるかも知れない…)と感じてやったのかも知れない。と今、思い出す。
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昔、母が裏庭で撮らせた
唯一の家族写真 |
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母 姉 (長女) 姉 (次女) |
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また別の話だが、釘本家の私道の横の空地にヤギが放ってある場所で姉と二人は遊んでいた。
姉は黒い石を拾って、道端に何かを描いていた。
私はヤギが糞をする場面を見ていたので、その黒い石が、どうもポロポロと落ちていたものと重なり(危ないな…)と思い、近寄って見てみた。
どうやら間違いなくヤギの糞が時間が経って硬くなったものであった、私はすぐ「あっ、それ、ヤギの糞だよ!」と教えてあげた。姉は「アッ」と驚き、持っていたその黒いヤギの糞を手から跳ね落とした。
また別の話、昔、寒い冬のある日、隣との境にある井戸の横で姉と二人で遊んでいた。
井戸の上にきれいで真っ白な雪が積もっているのに感銘したのか、姉は素手で冷たい雪を強く掴んでしばらく堪能して平然と握り締めて楽しんでいた。
すると手が凍傷で赤くなり、薬指だけがみるみる膨らんでいった。
私は、幼い心に、姉の持つ皮膚感覚にある疑問を感じ、物事の良し悪しを感じる大事な神経が切れているような、普通の人とは極端に狂っている特別の危ない人間だと感じた。
また別の話、季節は夏の暑い日に、母が廊下で何やら片付け物の整理をしていた時、姉がその母の背中に甘えるように持たれかかって擦り寄ってきた。
だが突然、激しい大声で、「あーもう!、暑いのにベタベタくっつきなさんな!」背中にまとわりつく娘が、余程うとましかったのか跳ね除けて怒った。
私は傍で驚いて見ていたが、こんなに怒りをあらわに出す母の姿を今までかつて見たことが無かったからである。
小学生の頃、姉と口喧嘩したことがあった。口達者でどうしても勝てなくて、あまりにも悔しくて姉の教科書を隠してしまった記憶がある。
自分の過ちを認めず、どこまでも強情で絶対に謝らない姉に業を煮やして、姉の教科書を隠したのだった。
そのことで一年もの間、姉は教室で隣の生徒に教科書を見せて貰う事になるのだが、その損失を思うと普通、不便を感じて(何とかうまく謝罪して返して貰うことにしようか)と落ち着くものだと思うが、とうとうそういう事にはならなかった。
いつしか私も教科書をどこに隠したか、その場所も忘れてしまい、すっかり一年がとうに過ぎてから雨戸入れの上からふいに出てきた。
人並みでない尋常でない強情さが潜んでいる姉を感じた。この出来事は(将来、姉が学ぶべき大事な何かを弟が隠すことになる)という、姉と弟の間で、やがて敵と味方に分かれて激しく闘かう、未来に起こるある宿命の象徴を演じさせられていたようである。
結果的にもその通りの事が今、現実に起こっている。醜い、いさかいの事実となった。(ここは冷静になって、少し妥協して何とか解決しよう)という賢い知恵が全く育ってない、強情で未熟なままの子供の証拠だ。 |