「 …となったと。」「うんうん。」「それで、アクセルをグンと踏んだら、そうなったグーと行ったとね。」「うん。」「そうです右にハンドルを切った状態で、グーと行ったから。」「今#さんごめんね、いつまでもね、しろしかろうと思ってね。」「もう。」「うん。」「ここで車の前から言ったらそうたいね、そのまま、ええ。」「今#さん、ね、ごめんね。」「うーん、ここで止まったっちゃろ、1回、止まって、そこではまったっちゃろ。」
「うんうん。」「えっと、おいくつ」「もう今、74、5になる。」「はい、電動やろ、はい、また、こっちを見て。」「お尋ねします。ちょっと、動かすように私が言うたもんやから。」「…。」 ※ ここでも自分の過失を証言している。
※■警察官は急に、釘本夫妻を向こうに呼び寄せ、ヒソヒソと何やら話し始めた。 私は警察の不審な様子に気が付き、耳をすまして聞いていた。
「手続は終わってるから、何も言ったらいかんですよ。知っとったらいかん!。」「はい…。」●※ おかしなことだ。初めから木下警察官が加害者夫婦の2人に(余計なことを言わないように。)注意をしている「(何も連絡が無いので、知らん。)と言って下さい。」「…。」「(事故の話し合いは、保険屋さんが責任を持って話をしてあるから、(私は知らん。)と言って下さい。絶対、口出ししちゃならんですよ!。」「…。」●※ これは警察が損保と結託した上での密約の発言であることが分かる。
「そういうのはないけんね、すみません。」「しろしかろうと思うて…たまらんとですもんで、すみません。」
「すみません、本当に、もう、うちが…。」「車の写真かなんか…」「もう。」「それ。」「ああ、さっきの。」「そうです。」「完全に、こう出てきてから。」「うん。」「考えられませんけんで。」「はまったっちゃね。」 ●※ 警察官の自作自演の小芝居が始まった。言い訳がましく何かを誤魔化すかのようなやりとりである。
「それしか考えられんですね、あとはもう頭が真っ白…。」「(ここにひっかかったちゃろう。)て言いよる。」「見て貰って。」「ああ、写真。」「…。」「ああ、これは。」「現場の写真があるけんね、現場の写真が無いもんと思って。」「ああ。」「今、これ、あれですよ。」
「携帯で撮って貰ってるから、それであれですね、焼き回しが出来んやったからですね、一枚も無いけんで、保険の…。」「ちょっと、いいですか?、ああ」「はい。」「そいけん、(出来んちゃろうか?。)と言われたけど、焼きまわしが…。」「そうけん。」「話をしてますけどね」「あれけん、ですね。」 ●※ 富枝氏は、写真の焼き回しの依頼を断ったことの言い訳を慌てて何度も不自然に繰り返ししている。
「報告書につけとくけん、一応ね」「ああ、はい。」「預かっとく。」 ●※ 警察官が私に見えるようにチラチラとわざと書類板を何度も揺らした。動作をおおげさにして報告書に書き込むようなそぶりをして私の視線を向けさせた。赤い車の写真だった…。私は、当然、(突入した時の写真のコピーを警察官が持っている…。)ということに気が付いた。
「これは、これ、写しか何か?」「写し?。」「ええ。」「大体、保険屋さんに言って、保険屋に貰わんですか?。」「ああ、はあはあ。」「そげん、なるけん…。」「そうですか。」「…。」「これは12枚、3×4 12枚、ですね。」「うん。」「これ、あの、コピーさせて貰っていいですか?ちょっと。」「すぐならいいけど。」「ああ、すぐ、終わりますから、ああ、今、はい、すぐに終わります。すぐ終わる。じゃあ、ちょっと、今」「…。」
●※ 「突入した瞬間の写真を送って下さい。」と損保にいくら要求しても、拒否して送って来ないので、(この機会に現場の写真を拝借してコピーをするしかない…。)と思い、検証の途中に脱け出した。 だが、彼ら(損保と警察。)は事前に念入りに打ち合わせをしていて(この写真を欲しがる反応をするだろう。)という予測をして、警察官はわざと見せ付けて誘導していたことが判る。
写真を受取ってコピーをする為に急いで走る音。 (ガサガサ。)と、振動の音がする…。
急いで、コピーをしようと思ったが、コピー機が壊れていた。しかたなく、イメージスキャナーで呼び込むことにした。しかしパソコンを立ち上げて、安定するまでに時間がかかった。そうこうするうちに、警察の現場検証の時間は進んでいった。 この間、現場検証の様子が全く判らない状態になって、気になった。 時間がかかりそうなので、一旦戻って、なにやら、話している様子を確認した。録音機を玄関の方に移してセットした。
…… 柱時計の刻む音が規則的に聞こえる。
一方、現場では、私がコピーして戻って来るのを、待っている様子だった。(しばらくかかるだろう。)ということは、予想していたのだろうが、警察官はただ、待たされている間、我家の玄関の損壊状態を見るでもなく、玄関前の軒下にぼんやりとして立っていた。 母が縁側からその様子を見ていた。いくら待っても、玄関の中を調べる様子が無いので、母は心配になって警察官に声をかけた。
……… 柱時計の刻む音が規則的に聞こえる。
玄関の前 「中は調べないんですか?。」「あ…。」「中は見られないですか?。」「…。」
玄関は厚いベニヤ板で塞いであり、光をさえぎり玄関の中の様子は薄暗い状態であった。
木下警察官は、しばらく戸惑っていたが、2回も、母から促されると、(中は調べません。)とは言えず、諦めたかのように、やおら靴を脱いで縁側から上がり、中の様子を見ることにした。
家の中 母が玄関の天井にある電気を点けたが薄暗かった。防寒の為に塞いだベニヤ板のために、昼間なのに、外からの光が全く入らないので、暗くて壁の亀裂がよく見えない。
「…。」「…。」「…。」「…。」…柱時計の刻む音。
「何やったら、(ベニヤ板を)剥ぎましょうか?。」「剥いだら、またふさがないかん、大変やろうけん。」「よかですよ、剥いでも。剥いで下さい。」「いえいえ。」 ●※ 私が現場検証をわざわざ頼んだのは、「玄関の損壊亀裂を見て下さい。」とお願いして来て貰った筈だが、彼らは肝心な職務義務を怠っている。現場検証に来た目的を忘れて、平然と断っている。
「ああ、ここにですね。」「はい。」「ふんふん。」「…ね。」「そうですね、はあ、はあ、はあ。」
「…ね。」「うん、うん、うん。」「…ね。」「…。」
「すみません、ちょっと、中を見させて貰いますね。」「はい。」 もう一人の警察官も入った。嶋田巡査も続いて靴を脱いで上がった。 ●※
3人の警察官は家の損傷現場を検証に来た筈だ。勧められてから、ようやく動くとはおかしい。
「倒壊危険が発生しているので、亀裂を検証して下さい。」と依頼されて、今来ている筈である。●※
3人の警察官は、揃ってブーツ靴を脱いで、縁側から上がって、玄関の廊下に廻り込んで、中の壁や柱の損壊の様子を見て確認した。
待っている間、3人はただ、キョロキョロして、何やら話をしながら見ているだけであった。カメラを持った書記係がいるのに玄関の土間に下りて、写真を撮る様子も調書に書き込む様子も無かった。
●※ 母はその様子を見て変に思った。 警察の現場検証なら、一番大事な建物の損傷での倒壊危険を調べるべきであるが、彼らは充分に時間が有りながらも、全く「調書」に書くようなそぶりをしていない。 嶋田巡査は被害者の私から何を依頼されたか忘れたとでも言うのか?。
15分程経過した時、コピーに手間取って、戻ってこない私を、母がチャイムを鳴らして呼んだ。♪〜… 私は仕方なく途中でやめて、写真を返しに戻ることにした。
家の中。………柱時計の刻む音が規則的に聞こえる。
「すみませんでした。これ、お返ししますね。」「判りました。そしたらね、もう。」「はい。」「一応ね、状況はね、判りましたからですね、あとは、届出が遅れたけど、まあ、まあ、「物損事故届け。」を出しますので、当事者が話すと、もめたりするけん、仲々、近くだと、話がしにくいところがあろうけん、保険屋さんと話して下さいね。保険屋さんは来よるんのかな?。」「ええ、そうですね。」「じゃあ、そっちと良くね、うん、話して下さい。じゃあ、これで終わりますけん。」「もう終わりですか?。」
「うん、えっと、事故当事者のほうは、お母さんのほうですか?。」「ええ。」「お母さんの名前は。」「え?。」「ちかこさんは。」「充の上の部分がいらない。名前は充の字を書いて、充電のじゅう、充のあの、ナベブタを取った字。」「これの、こうですか?。」「はい。」「生年月日はどうですか?。」「大正10年、2月23日。」「住所は0016。」「住所は0016。」「あの、役場の図面では、0015になっとるけん。」「いや、あれは…。」「……。」「では…。」
※●とうとう大事な建物の損壊状況を検証しないままに終わった。無責任にも「これで終わります…。」と言って帰って行った。「当時者が話をするともめるから、あとは保険屋と話をするように。」と何度も言って、さりげなく導いているようだ。
「…。」「…。」「これは…。」 警察官は外に出て、玄関前で色々と話をしている。
「どうも、ありがとうございました。」「はい、どうも…。」「…。」「…。」「…。」 「ありがとうございました。」「…。」 「あとは…。」「はい…。」「…。」「ゴホン。」
家の中 …… 柱時計の刻む音が規則的に聞こえる。
私は現場検証が終わって、警察を見送って家に戻って来た。時計の音(半)
「どげんやったね?。」「何?、うん、カメラを撮っていた。カメラを。」「…。」「あ、これ、ずーと録音してたんだよ。」「ああ、そう。」
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